今週のメッセージ 2007.4.15

キリストの復活と助死師

 

助産師はどなたもご存知の出産を手助けする仕事をする人のことです。

それに対するものとして「助死師」というのをご存知の方は少ないのではないかと思います。それも当然です。助産師のように助死師という資格を持った職業があるのではなく、これはある助産師だった方の造語のようです。

沼野尚美さんという方がおられます。この方は、薬剤師から大阪・淀川キリスト教病院のチャプレンになられ、現在は神戸のホスピスでチャプレン兼カウンセラーの仕事をされている方です。

この沼野さんがそうした仕事をされるようになって間もない頃、60代後半の女性の患者さんが入院して来られたそうです。その患者さんはなんと沼野さんがこの世に生を受けた時の助産師さんだったそうです。

その方が沼野さんにこう言われたそうです。「沼野さん、私はあなたが生まれてくるときに、あなたの誕生を援助しました。こんどは、私が死んでいくのをあなたが助ける番ですよ。よろしくね」と。そしてさらに、「長い人生のなかには、とりわけ人の援助なしでは生きられない時期がある。その一つは、人生の誕生時であり、もう一つは、この世を去っていくときだ」と言われ、「助産師がいるように、人生の旅立ちのとき、そばにいて援助してくれる助死師の必要だ」とも言われたそうです。

ここまで申し上げれば「助死師」が何を意味するか理解していただけたかと思います。決して自殺を手助けする仕事ではありません。

先週お祝いしたキリストの復活の出来事は、死に赴く者にとって最高の福音、そしてそれを伝える者はまさに助死師です!