今週のメッセージ 2007.8.12

「使徒信条」の中の二つの固有名詞

 

先週取り上げました「使徒信条」の中に、「イエス」を別にして二つの固有名詞が出てきます。それはいずれも人名で、一人は「マリア」、もう一人は「ポンテオ・ピラト」です。

「使徒信条」はキリスト教信仰の核心を、これ以上削ぎ落とせないほどに簡潔な言葉で言い表したものですが、その中に二つの人名が織り込まれているのは興味深いことです。

「マリア」はイエス・キリストを胎内に宿した女性です。イエス・キリストがわたしたちの救い主であることと、イエスが神であられ、同時に人であられることとは切り離せない関係を持っています。マリアの聖霊による受胎はイエスが神の御子であられることのあかしであり、マリアの胎を通してのイエスの誕生は、イエスが人であることのあかしなのです。従って、このことを自らの胎において担ったマリアの名が入っていることは、このことが歴史の中に実在した人物を通して確かに起こった出来事であることを証ししているわけです。

もう一人の名「ポンテオ・ピラト」は、イエス・キリストの十字架の苦難に深く関わった、やはり歴史上実在した人物です。イエスが救い主として、わたしたちを罪と呪いの死から贖うために、“十字架の死”は不可欠な要件でした。また、単なる死ではなく十字架による死が必要でした。十字架刑はイスラエルにはない処刑方法で、それに深く関わったのがローマ総督ポンテオ・ピラトです。さらに、その死は仮死などではなく確実な死であることが、わたしたちの贖いのために、またイエスの確かな復活のために不可欠なことでした。故に、歴史的に実在し、このことに深く関わったポンテオ・ピラトの名が織り込まれているというわけです。