今週のメッセージ 2007.9.16

品格が問われる人間

 

人間は品格が問われます。もう一昨年のこととなりましたが11月に藤原正彦著『国家の品格』が出版されました。それを皮切りに昨年は相次いで川北義則著『男の品格』が4月に、坂東真理子著『女性の品格』が10月に出版されました。それだけ品格が問題視される社会となっていることの証左でありましょう。

『国家の品格』の中で著者の藤原は、大正末期から昭和の初めにかけて駐日フランス大使を務めた詩人のポール・クローデルの言葉を紹介しています。それは大東亜戦争の帰趨のはっきりした昭和18年に語ったもので、「日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でただ一つ、どうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら、それは日本人だ」というものです。気位の高いフランス人が、極東の小国日本人についてかくも高き評価を与えたということは驚きです。

現代の日本人は、世界でも有数の経済大国となりましたが、それと引き換えに高貴さ、さらにはどうしても生き残って欲しい世界でただ一つの民族といった評価は完全に失ってしまったと言わざるを得ません。

動植物は品格を要求されることは決してありません。しかし人間は品格を問われるのです。それは一体何に起因しているのでしょう。

それは人間が、神により、「神にかたどって創造された」(旧約聖書・創世記1:27)からです。またその故に人間は、「パンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きるもの」(新約聖書・マタイ4:4)なのです。

藤原はさらに、「国家の品格とは、それ自体が防衛力」とも書いています。そのような品格の高さを持った国家形成実現のために祈る者です。