今週のメッセージ 2009.9.20

人間のすべて

 

楽天の野村監督は、プロ野球の監督としてただチームの勝敗にこだわるだけでなく、否、むしろこだわるが故に、選手に人間としての成長を求め、時には人生哲学も説く監督である。彼は監督として四つのチームに関わってきたが、決まって選手たちに最初に尋ねることがあるという。その尋ねることとは、“人間は何のために生まれてくるのだと思う?”だそうである。ほとんどの選手は答えられない。そして、そんなことは考えたこともないと言うそうである。

考えてみれば、それは無理からぬことと言える。なぜなら学校で教えられないのだから。

東神大教授の近藤勝彦氏は、今日の社会は、《最も重大なこと》を公然と語っていない社会だと指摘している。“人間は何のために生きているのか”“社会は何のために存在しているのか”については語らないと言うのだ。そしてその理由は、公立学校ではそのことは教えられない。何故かというなら、それを教え始めると、どうしても宗教に触れざるを得なくなるからだというのである。確かに公立学校では、特定の宗教について教えることは出来ない。さりとて、では各家庭でそれがなされているかというと、はなはだ心もとないのが現状である。

先週は、“宗教は本(もと)であって、道徳は末である”という内村鑑三の言葉、また、“宗教は教(おしえ)の宗(もと)”という三浦綾子の言葉を紹介した。また、「主を畏れることは知恵の初め」という旧約聖書・箴言1:7の御言葉も紹介した。さらに聖書は次のようにも語っている。

「『神を畏れ、その戒めを守れ。』これこそ、人間のすべて。」

(旧約聖書・コヘレトの言葉12:13)