今週のメッセージ 2010.2.14

主イエスの「死者の甦り」の奇跡について

 

主イエスがなさった「死者の甦り」の奇跡が福音書中に三例記されています。最初の例はルカが記す“ナインの町のやもめの一人息子”の甦りです(ルカ7:11〜17)。二例目はマタイ、マルコ、ルカの三福音書が記しているもので“会堂長ヤイロの一人娘”の甦り(マタイ9:18〜26、マルコ5:21〜43、ルカ8:40〜56)。そして最後がヨハネだけが記している“ベタニアのマルタとマリアの兄弟ラザロ”の例です(ヨハネ11:1〜44)。

同じ「死者の甦り」の奇跡ですが、それの持つ意義は異なっています。

最初の二例――“ナインの町のやもめの一人息子”と“会堂長ヤイロの一人娘”――は、主イエスが来るべき救い主であることの証しと考えられます(ルカ7:18〜23参照)。

それに対して三つ目の“ベタニアのマルタとマリアの兄弟ラザロ”の甦りは、さらに進んでその奇跡と併行して語られている主イエスの自己宣言の言葉の証しとなっています。その自己宣言とは次の言葉です。

「わたしは復活であり、命である。わたしを信じる者は死んでも生きる。生きていてわたしを信じる者はだれも、決して死ぬことはない。」

(ヨハネ11:25,26)

従って、主イエスのなさった「死者の甦り」の奇跡は、単に死者を甦らせたという奇跡にとどまらず、ご自身が来るべき救い主その者であり、さらに信じる者には永遠の命を与える救い主であることを証しするものとなっているわけです。

実はヨハネではこの奇跡が決定的な原因となって主イエスの十字架の出来事へと展開していきます。しかし、この十字架の死こそ、それに続く三日目の復活と相俟って永遠の命の救いのみ業の成就となるのです!