今週のメッセージ 2010.110.3 

イエスはガリラヤに退かれた

 

表題はマタイ福音書412から取りました。すなわち、「イエスは、ヨハネが捕らえられたと聞き、ガリラヤに退かれた」、です。

洗礼者ヨハネから洗礼を受け、荒れ野で4040夜の断食の後、悪魔からの三度にわたる誘惑も神の言葉によって勝利されたイエスは、いよいよ救い主としてのお働きを開始されるのですが、412からその出来事が始まります。

その書き出しである12節の言葉は、イエスが、ヨハネを逮捕・投獄したヘロデを避けてガリラヤに避難したように読めます。しかしガリラヤはヘロデ大王の息子アンティパスが領主として統治していたところですから避難したというのには矛盾を感じます。

この「退かれた」と訳されている言葉は、先の214,22にも出てきました。それぞれ「去り」、「引きこもり」と訳されています。すなわち、「去り」とは幼児虐殺を企てたヘロデ大王の難を避けて聖家族がエジプトへ「去った」ことを指し、「引きこもり」は、その後ヘロデ大王の跡継ぎとしてアルケラオがユダヤを支配していると聞いてガリラヤ地方に「引きこもった」ことを指しています。

ところで、この二つには共通していることがあります。すなわち、両方とも夢でお告げを受けて行動していることです。聖家族は、夢でお告げを受けてエジプトへ逃れたのです(13節)。また、夢でお告げを受けて彼らはガリラヤ地方に引きこもったのです(22節)。

ということは、ヨハネが捕らえられたと聞いてガリラヤに「退かれた」のも御父の導きであったと考えると、イザヤの預言の成就であることとも相俟って単なる避難でないことが頷けるのではないか思います。