今週のメッセージ 2010.10.31

迫り来る死を前に紡ぎ出された言葉

 

先週の月曜日、夜9時から放映されたTBS系の「明日もまた生きていこう」という番組を観ました。それは横山友美佳(ゆみか)という、バレーボールの有望新人として将来を嘱望されながら、ガンのために21歳の若さでこの世を去らなければならなかった人物を取り上げたものでした。

18歳(高校2年)の春、ガンであることが判明。以来、彼女は他界する21歳の春(2008年)までの3年間、3度にもわたる苦しい抗がん剤および放射線治療に耐えて闘病生活を送りました。

その間、ただ闘病しただけでなく、病院内にある特別支援学校で学び高校を卒業。しかも大学を受験し、見事、早大の教育学部に合格。さらに加えてその間も自伝の執筆に取り組み、書き上げたのが「明日もまた生きていこう」でした。出版されたのが20085月でしたので、その前の月の4月に人生の終焉を迎えてしまった彼女は、それを見届けることはできなかったのですが、今回の番組のもとになりました。

そうした死と対峙する生活の中で彼女が紡ぎ出した言葉があります。

 「たとえ明日にバレーボールができなくなっても、後悔がのこらないように今日を過ごすこと」

 「何かを失ったからって悲しんで泣くよりは、今自分に残っているものを大事にしよう」

 青春の真っ只中にありながら、死と真向かって生きなければならなかった彼女が、涙と苦悩と苦闘を通して勝ち取った珠玉の言葉と言えるでしょう。

旧約聖書中に次のような言葉があります。

「何事にも時があり/天の下の出来事にはすべて定められた時がある。」

(コヘレトの言葉3:1)