今週のメッセージ 2011.5.8 福音書の「まえがき」と「あとがき」
通常書物には、本論に入る前に書き添えられる「まえがき」、本論のあとに添えられる「あとがき」があります。これらは、著者がどんな意図・目的のもとにそれを書いたかを知る上で大いに助けになります。
新約聖書の最初に置かれている四つの福音書にも「まえがき」や「あとがき」が添えられているものがあります。
たとえば『ルカによる福音書』には「まえがき」があり、著者ルカがテオフィロという人物に献呈するかたちで書かれた以下のようなものです。
わたしたちの間で実現した事柄について、最初から目撃して御言葉のために働いた人々がわたしたちに伝えたとおりに、物語を書き連ねようと、多くの人々が既に手を着けています。そこで、敬愛するテオフィロさま、わたしもすべての事を初めから詳しく調べていますので、順序正しく書いてあなたに献呈するのがよいと思いました。お受けになった教えが確実なものであることを、よくわかっていただいきたいのであります。
他方、『ヨハネによる福音書』には以下のような「あとがき」が添えられています。
これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命をうけるためである。
してみると福音書は、キリストに関して伝えられていることは確実なことであり、ぜひ読者も、それに基づいてイエスは神の子救い主と信じ、イエスの名によって命を受けていただきたいとの意図・目的のために書かれていることがわかります。そして読者とは「あなた」に他ならないのです!
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