今週のメッセージ 2011.9.18

橋を作る人

 

老人がひとり、寂しい道を旅して

 

広く深い裂け目の所にきた

 

裂け目には激流が渦巻いていたが

 

薄暗がりに老人はそこを横切った

 

老人は陰うつな流れにも少しも恐れなかった

 

無事に向こう岸に渡ると振り向いて

 

裂け目にかかる橋を作りはじめた

 

近くにいる仲間の旅人が声をかけて「じいさん

 

こんな所に橋をかけて

 

とんだ無駄骨折りではないですか

 

あんたの召される日に

 

旅は終わってしまうでしょう

 

広い裂け目を渡って

 

もう二度とこの橋を渡ることはないのに

 

どうしてこんな夕暮れに

 

橋を作ったりするのですか」

 

橋を作っている老人は

 

白毛混じりの頭をもたげて静かに言いました友よ

 

わしの通ってきたこの道を

 

今日一人の青年が続いてくるのです

 

(カウマン)

次世代への配慮という点で聞くべきものを持っている詩と思います。