今週のメッセージ 2012.01.22

サムソンと髪の毛

 

サムソンとは旧約聖書の士師記に登場する人物です。士師の時代は、モーセそしてその後継のヨシュアが世を去ったあと、イスラエル全体を統率するリーダーが不在となっていました。そこで、その時々、必要に応じ、神によって立てられた小リーダーが士師と呼ばれる人々です。サムソンはギデオンと並んで最もよく知られる士師の一人です。

彼を有名にしているのはその怪力です。その怪力は、彼の髪の毛と関係していました。彼は神により、生まれる前からイスラエルの士師となる使命が与えられており、その頭に決して剃刀を当ててはならないと命じられていました。怪力の秘密は実にその髪の毛にあったのです。

しかしある時、ペリシテの女デリラに攻め立てられ、ついにその秘密を明かしてしまったのです。デリラの膝枕で眠っている間に髪の毛は剃り落とされ、その怪力は失われてしまいました。そのためペリシテ人の捕虜となり、目を抉り出され、足かせをはめられて、牢屋で粉挽きの労働を課せられる惨めな状態に落ちてしまったのでした。

しかし、サムソンの怪力は髪の毛そのものにその源があったのではありません。髪の毛は象徴に過ぎず、その怪力の源は、サムソンの神に対する関わり方にあったのです。すなわち、頭に剃刀を当ててはならないという神の命令に従う彼の姿勢にあったのです。神との関わりを蔑ろにして生きていたサムソンの心の姿勢は、決して剃刀を当ててはならないと言われていた髪を、ペリシテの女に剃り落とされる形となって露呈したわけです。外面に表れる形以前の、内なる心の姿勢の大切さを教えられる出来事です。

「人は外の顔かたちを見、主は心を見る。」(旧約聖書・Tサムエル167