今週のメッセージ 2012,2,26

罪を赦す権威を持つイエス・キリスト

 

「人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう。」

(新約聖書・マルコ2:10a

 

冒頭の聖句は、その後に主イエスによる中風の病を負った人のいやしの出来事が記されています。主イエスはいやしの業を通してご自身が「罪を赦す権威を持っていること」を証しされたのです。

これまでに多くの小説家が罪の問題をテーマに作品を書いています。

例えば夏目漱石と「こころ」という作品などはその好例でしょう。友人を裏切ったために友が自殺を遂げてしまい、そのことで良心の呵責に苦悩する「先生」という登場人物が描かれています。

他方、遠藤周作は「海と毒薬」という作品を通じて、同じく人間の罪の問題を取り上げているのですが、漱石とは真逆の罪の面を描いています。先の戦争末期、実際にあった九大医学部の米兵捕虜に対する生体解剖事件を題材として、人の目は恐れるけれども、神の目に対する恐れは希薄な、言い換えれば、罰は恐れるけれども、罪そのものに対する恐れに欠ける日本人の心の不気味さが浮き彫りにされています。

このように多くの作家が、人間の心の罪の病状についてはさまざまな角度から描いてきましたが、ではその病をいかにして克服するのか、についてはほとんど取り上げられませんでした。

しかしその問題に真正面から取り組んだ作家が三浦綾子でしょう。「氷点」では、罪を『赦す』といってくれる権威が欲しいと希求し、「続氷点」では、キリストの十字架の犠牲による罪の贖い、すなわち罪の赦しの道の示唆をもって作品が締めくくられているのです。