今週のメッセージ 2012.3.11

受難節を想う

 

新約聖書の最初の四つの福音書のうち、二番目の『マルコによる福音書』は事の運びのテンポが速いので、気の短い人には結構好まれるようです。わたしの友人にもそういう人がいました。

それは兎も角として、マルコでは早36節に、「ファリサイ派の人々は出て行き、早速、ヘロデ派の人々と一緒に、どのようにしてイエスを殺そうかと相談し始めた」とあります。16章から成る書ですが、3章の初めで主イエスの(十字架の)死が示唆されています。折りしも今、教会の暦では受難節の期間にあります。イースター(復活日)の前日までの40日間(6回の日曜日を除く)なので四旬節とも呼ばれ、またレント(Lent)とも呼ばれます。英語のLentはアングロサクソン語の「春」あるいは「長い」を意味する語から来ているそうです。

40」という数字は聖書の中では特別な意味を持っています。ノアの洪水の前には4040夜雨が降り続きました。エジプトを脱出したイスラエルの民は40年間の荒野の放浪を余儀なくされました。また主イエスは、救い主としての公的活動を開始されるに先立ち、4040夜の断食の時を過ごされました。そうしたことに由来する40日です。従ってこの期間は教派によって違いはあるものの、克己・修養・悔改の期間として過ごします。肉食を控える群れもあります。“Lent fare”はレントの献立、すなわち精進料理を意味します。また結婚式は控えるとか、祝祭頌歌(ハレルヤ)を歌わないグループもあります。そして受難節が明け、イースター(復活日)が到来すると「ハレルヤ」が高らかに歌われるのです。

というわけで、この受難節を、主イエスの十字架に想いを馳せ、そのご苦難の意味を問いつつ、イースターに向かって備えたいと思います。