今週のメッセージ 2012.3.25

人の人たる所以

 

オバマ米大統領の就任式で祈祷を献げ、その著書『人生を導く5つの目的』は全米で3000万部を突破、NYタイムズのランキングでは74週連続第1位を記録したことで知られるR・ウォレンの著したものに『回復への道』があります。その中に笑い話のような実話が載っています。著者が、「最近、あるカトリック系の学校に通っている2人の非行少年に関する記事を読みました」と前置きして記していますから、間違いなく実話でしょう。

その話とは、非行を繰り返していた2人が、ついに校長室に呼び出されたのです。校長先生は、2人が本当に必要としているのは神であることがわかっていたので、まず少年の1人を呼んで尋ねました。「君に質問したいんだけど、神さまはどこにおられると思う?」突然の思いがけない質問に少年が答えられないでいると、校長先生は、「神さまはどこにいると思う?そのことを君に考えてもらいたいのだけれど」と繰り返し、それでも答えられないでいる少年はついに退出となり、代わってもう1人の少年が呼ばれました。彼は校長室に入り際に、出て来た少年に尋ねました、「どうだった?」すると彼は答えました。「よくわかんないけど、どうやら神さまが行方不明で、それを俺たちのせいにしようとしているみたいだぜ」。

著者はこの話を神について間違った考え方をしている例として挙げています。そのようなピンと外れは他にも沢山あるように思いますが、人はそれをさほど重大のこととは考えないところがあります。お金儲け、受験、男女関係の問題には大きな関心を示しますが、神の問題についてはさっぱりなのです。

しかし、神を知ることこそ、本当はいちばん重要な問題なのです。旧約聖書のコヘレトの言葉の結びに、「『神を畏れ、その戒めを守れ。』これこそ、人間のすべて」(12:13)とあります。別の訳では、「これがそもそも人の人たるゆえんである」、さらには「これが人が創造された目的のすべてなのである」、とあります。