今週のメッセージ 2012.12.23

「欲望中心」から「使命中心」へ

 

昨日の午後、Eテレで“100de名著”の再放送をやっていた。取り上げられていた名著はヴィクトール・フランクルの『夜と霧』。これは実は8月の放送されたものなのだが、4回分まとめて一挙に放送されたのであった。毎週水曜日の夜11時から25分間の番組なのだが、夜遅いこともあってなかなか見辛く、このたび昼間一挙に4回分再放送ということで非常に興味深く鑑賞した。

表題の“「欲望中心」から「使命中心」へ”は実は番組の中で解説者が語っていたもので、著書の中に出て来るフレーズではない。著書の中からこれに呼応する言葉を探すならば次の言葉であろう。

 人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなく、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。 (p.184

また次のような言葉も挙げられるだろう。

 この困難な時と、また近づきつつある最後の時にわれわれ各自を誰かが求めるまなざしで見下ろしているのだ・・・一人の友、一人の妻、一人の生者、一人の死者・・・そして一つの神が。(p.192

わたしたちは人生において、自分の欲望(欲求)の充足を求めることに終始しがちである。しかしそうではなく、フランクルの表現を用いるならばコペルニクス的転回をして、人生が自分に期待し、また期待の眼差しで自分を見つめている他者に気づいて、それに応える生き方、即ち使命に生きるようにすべきなのだ。

「あなたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたを選んだ。」

(ヨハネ福音者15:16)