今週のメッセージ 2013.1.13

洗礼者ヨハネのメッセージ

 

教会暦では本日は降誕節第3主日です。クリスマスからまだ3週間も経っていないのですが、ずいぶん前のような感じがする方もおられるでしょう。生活歴では大晦日そして新年元旦という大きな節目を経過したことがそのように感じさせるのかも知れません。

ところで、新約聖書の最初の三つの書を共観福音書と呼ぶことがあります。確かに共通した部分も多くありますが、しかし異なる点もあります。

マルコは、マタイのようにキリストの降誕の記事がありません。ルカなどはキリストの降誕記事の前に先駆者ヨハネの誕生記事が置かれています。それに対してマルコは、いきなり洗礼者ヨハネの宣教活動の記事から入り、息もつかせない感じでキリストの宣教の記事へと突入します。

洗礼者ヨハネの記事から始まるのは、メシアに先立つ先駆者の使命を帯びてやってきたわけですから当然といえば当然です。しかし、その活動は重要なメッセージを発しています。彼の使命は、人々に救い主を迎えるための備えをさせることでした。そのために彼が具体的に行った活動は「悔い改めの洗礼」(マルコ1:4)を授けることでした。キリストの救いの恵みに与るためには罪の悔い改めが必須であることを示しています。神の前に自分の罪を認め、悔い改めることなしにキリストの救いを得ることはできないのです。あのペンとコステの日に、自分たちの過ちに気づいてうろたえる人々にペトロが語った第一声は「悔い改めなさい」(使徒2:38)でした。あのルース・ベネディクトが著書『菊と刀』において、日本人の文化を、欧米人の「罪の文化」に対して「恥の文化」と指摘していることは有名ですが、「罪」の意識より「恥」の意識が勝ちがちな日本人にとって、特に傾聴すべきメッセージをヨハネは叫んでいるのです。