今週のメッセージ 2013.1.20

救いの大前提―罪の悔い改め

 

先週の「洗礼者ヨハネのメッセージ」と題したメッセージの中で触れた、ルース・ベネディクトの『菊と刀』についてもう少し詳しく記しましょう。

彼女はアメリカの文化人類学者です。原著が刊行されたのは1946年(昭和21年)で、邦訳が出版されたのは2年後の48年(昭和23年)です。題名の『菊と刀』は、美を愛し菊作りに精魂を込める日本人と、同時に武の力を重んじ、武士に最高の栄誉を与える日本人の両面を象徴的に表現したものです。

著作の背景的な事情は、第2次世界大戦に関係しています。戦後の日本占領政策と日本統治に生かすべく、戦時中にアメリカ政府が彼女に日本研究を委託したことから生まれたものです。直接現地調査はできなかったにもかかわらず、在米日系人との面談、日本人の文学や日本人の作った映画等を材料として研究の結果生み出されたとは驚きです。その中で日本人の精神面を、欧米人の「罪の文化」に対する「恥の文化」として類型化しています。即ち、欧米人が、神に対する信仰と聖書の教えに基いた善悪の絶対基準に従って行動を律するのに対して、日本人は他者からの評価を基準として行動が律されていることが指摘されています。

日本人の心にそのような性向あるとするなら、それは大いに考えなければなりません。人の目は気にするけれども、神の目は気にしない、つまり罪というものに対する感覚が鈍くなってしまうからです。しかし、救いに与るための絶対不可欠な要件は、神の前に自らの罪を認め、それを悔い改めるということだからです。

「神の求めるいけにえは打ち砕かれた霊。打ち砕かれ悔いる心を/神よ、あなたは侮られません。」(旧約聖書・詩編5119