今週のメッセージ 2013.2.27

福音書と伝記

 

「神の子イエス・キリストの福音の初め。」(新約聖書・マルコによる福音書1:1)

 

早いもので今週末には2月を迎えます。「新年明けましたおめでとうございます」の挨拶もずいぶん前のことのように感じられるかも知れません。しかし、まだ一ヵ月も経っていません。クリスマスとなるとさらに前の感じがするかも知れません。しかし、まだ1ヵ月ちょっとです。

27の書から成る新約聖書はその最初に4つの福音書が置かれています。福音書を簡単にいうならば、つい1ヶ月ほど前お祝いしした救い主イエス・キリストの誕生から、十字架の死そして三日目の復活とその後の昇天までが記されている書といえるでしょう。

しかしこの福音書はいわゆるイエス・キリストの伝記ではありません。わたしは入信して聖書を読み始めた頃、福音書を伝記のように思って読んでいました。すると何かしっくりこない感じが否めませんでした。

それもそのはずです。伝記にしては、イエス・キリストの幼年期、少年期そして青年期のことがらは全くといっていいほどカットされているのですから。『ヨハネによる福音書』にいたっては、全体の21章の内、その半分近くが十字架と復活の出来事の記述に費やされているのです。

やがて入信から年数が経ち、聖書の学びが進んでいく中で、福音書著者の著述の意図は、イエス・キリストのいわゆる伝記を記すことではなく、救い主としてのイエス・キリストを紹介することだと知りました。

ところで冒頭の聖句は『マルコによる福音書』の書き出しですが、単なる書き出しではなく、この書のタイトルといえるものです。