今週のメッセージ 2013.6.2

受けるよりは与える方が幸い

 

作家曽野綾子氏は、JOMASJAPAN Overseas Missionary Activity Sponsorship――海外邦人宣教者活動援助後援会)を創立され、昨年まで40年間にわたってその代表を務めてこられた。昨年発行された氏の著書「朝はアフリカの歓び」の中に、JOMASの働きのことが詳しく報告されている。

その中に、ブラジルのサンパウロ空港のすぐ近くにあるグアルリョスの貧民街で働いておられる永山恵(ながやまめぐみ)という神父のことが紹介されている。

神父は、自分では生きていけない貧しい百家族に、毎月25日に一家族あたり粉、米、塩、砂糖などを一包ずつ渡しておられるとのことである。

しかし神父は、毎月第三日曜日に、グアルリョスのすべての人たちに、豆でも粉でも砂糖でも、何でもいいから一キロ持ってくるようにと命令しておられる。もちろん一キロが無理なら、一握りでもいいのである。その意図は、貧民街の人々に人間としての尊厳を与えるためだという。人は、受けると同時に与える立場に立たせなければ、人間にならないのだという。永山神父は、その働きにおいてJOMASからの援助金を使いながら、決してもらうだけの人を作らないという。

この原理は、金銭・物質的ことがらだけでなく、霊的な領域においても言えるのではないか。信仰生活・教会生活においても、ただ恵みを受けるだけに終始するのではなく、与える、すなわち福音を他者に伝える、また、献金を献げることが真の一人前の信仰者になるために大事なことなのだ。

新約聖書・使徒言行録2035に、「受けるよりは与える方が幸いである」という言葉が主イエスの言葉として紹介されている。