今週のメッセージ2013.12.29

東方の占星術の学者たちと羊飼いたち

 

救い主の誕生の出来事を伝えている聖書の箇所は、マタイ福音書118-25とルカ福音書21-7です。

それぞれの記事に続いて、前者では、東方から占星術の学者たちが、高価な贈り物を携えて救い主を礼拝するためにベツレヘムにやって来たことが記され、他方、後者では、救い主誕生のニュースが真っ先に伝えられたのは、野原で夜通し羊の番をしていた羊飼いたちに対してだったことが記されています。

マタイ福音書は新約聖書27巻のうちの最初の書です。冒頭にはイエス・キリストの系図が置かれています。この系図は旧約聖書から新約聖書への橋渡しの役割を果たしていると言われ、それを理解するには旧約聖書の知識が求められることからユダヤ人を対象とした福音書などとも言われたりします。だとすると、ユダヤの王ヘロデでもなく、また救い主に関する知識も持っていた律法学者たちでもなく、ユダヤ人が蔑んでいた異邦人の東方からの占星術の学者たちが御子を礼拝するために訪れたことをマタイ福音書が伝えていることは興味深いことです。

また、ルカが伝えている救い主誕生の知らせを真っ先に羊飼いたちが受けたことも同様に興味深いことです。当時ローマ皇帝の勅令により住民登録が実施されており、そのために大勢の人達が登録のため生まれ故郷に旅立っていました。しかし羊飼いたちはそれとは無縁の様子でした。仕事の性質上、牧草を求めて移動の生活を余儀なくされた彼らは住居が不安定であったため為政者たちから物の数には入れてもらえなかったのでしょう。

「心の貧しい人々は、幸いである、/天の国はその人たちのものである。」(マタイ福音書5:3)