今週のメッセージ2014.6.1

『コリントの信徒への手紙 一』15章

 

新約聖書中の『コリントの信徒への手紙 一』15章は“復活の章”と呼ばれます。しかし厳密に言うならば、むしろ「死と復活の章」と呼ばれるべきでしょう。なぜなら、キリストの復活は、単なる死からのよみがえりではありません。そもそもキリストの十字架の死は、「わたしたちの罪のために死んだ」(3節)死なのです。従って復活も、「わたしたちの罪のために死んだ」十字架の「死」からの復活です。そして15章には、死も含めての復活のことが記されているのです。

またある著名な神学者は、この『コリントの信徒への手紙 一』15章を、この手紙全体の「頂点」であり「冠」であると言っています。

この章の書き出しを見ると、著者の使徒パウロは、「わたしがあなたがたに告げ知らせた福音」(1節)、また、「最も大切なこととしてわたしがあなたがたに伝えたのは」(3節)とあり、これから記されることが福音の中核で、故に「最も大切なこと」であることが示唆されています。

15章の内容は、新共同訳聖書に付けられている小見出しからもわかるように、大きく三つに分けられます。

まず「キリストの復活」の小見出しのもとに、キリストの十字架の死、葬り、三日目の復活、顕現が語られます。

次いで、それを土台として、「死者の復活」の小見出しのもとに、わたしたちの復活が約束されます。

最後は、「復活の体」の小見出しのもとに、どんなふうに、どんな体に復活するのかが語られているのです。

従ってこの15章は、キリスト教の福音の中心を知る上で打って付けの章と言えるでしょう。