今週のメッセージ2014.6.15

「父の日」に因んで

 

本日は6月第3日曜日、すなわち「父の日」です。家族の構成は、通常、父・母・こどもです。「こどもの日」は55日、れっきとした国の祝日です。「母の日」は5月第2日曜日、そして「父の日」は6月第3日曜日。両方とも日曜日ですから休日ですが、祝日ではありません。それでも「母の日」は世界で祝われているようですが、「父の日」となると、「母の日」の後塵を拝している感じです。その起源は、1940年、アメリカのジョン・ブルース・ドット夫人が、「母の日」があるのに「父の日」がないのは不公平だとして提唱したのがその始まりといわれています。

ところで、旧約聖書に出て来る『十戒』の第5戒に、「あなたの父母を敬え」(出エジプト記2012とあります。一見、親孝行の勧めのように見えますが、そうではありません。そもそも『十戒』は、第1−4戒は神と人の関係についての戒め、第6−10戒は人と人との関係についての戒めです。そして第5戒はその両方に挟まれており、前半の神と人との関係、そして、後半の人と人との関係、つまり信仰と倫理の両方を併せ持っています。このことを端的に示しているのが、新約聖書のエフェソ6:1の「子たる者よ。主にあって両親に従いなさい」(口語訳)です。「主にあって」のフレーズが単なる親孝行の勧めでないことを示しています。

キリスト教会で、両親が誕生した幼子を神に献げる「献児式」という儀式があります。その式辞の中に、「両親は、この幼子を主から託された子として、これを愛し、育て守り導いていかなければなりません」という一節があります。即ち、子たる者が両親を敬うのは、単に自分を生み育ててくれた存在としてだけでなく、神から託されたという信仰に立って、自分を養育する業を担ってくれた存在だからなのです。