今週のメッセージ2014.7.13

十戒の前文

 

「わたしは主、あなたの神、あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である。」(出エジプト記20:2)

冒頭の聖句は十戒の前文です。前文には通常、憲法や法令の制定された趣旨・目的や基本原則が記されています。では、十戒の前文はどんなことが記されているのでしょうか。

まずは「わたしは主、あなたの神」。この「主」は新改訳聖書では太字で記されている神の聖なる名を意味するものです。即ち神は、イスラエルに向かって「わたしは主(ヤーウェ)」と自己紹介され、さらに「あなたの神」と自己宣言されているのです。これは驚くべき語りかけといわねばなりません。

次いで、「あなたをエジプトの国、奴隷の家から導き出した神である」といわれます。

そもそもイスラエルの民がエジプトに移り住むようになったのは、ヨセフの時代でした。そして結果的にエジプトに住んだ期間は430年と記されています(同12:41)。その間、次第に数を増すイスラエルの民に、エジプト王は脅威を覚え、勢力を弱めるべく虐待します。しかし、それにもめげず数を増すため、ますます虐待の手を強めていったのです。すると、ついにイスラエルの民は神に助けを求める叫びを上げるに至ります。神はそれに応えてモーセを立て、イスラエルをエジプトの地から贖い出したのでした。十戒の前文にはそうした背景があるのです。

 ここで覚えたいことは、十戒はエジプトから救出されるための条件として提示されたのではなく、すでに救出されたイスラエルに対して、その恵みに応えて生きる生き方として示されたものだということです。