今週のメッセージ 2014.9.21

第八戒

 

「盗んではならない。」(旧約聖書・出エジプト記20:15)

 

ハイデルベルク信仰問答というのがあります。その中の問110に、「神は第八戒においては、何を、禁じておられますか」とあり、その答として、「神は、ただに、官憲の罰する、窃盗や強盗を、禁じておられるだけでなく、不正な、目方、物差、枡、品物、貨幣、利息、その他、神に禁ぜられている方法によって、暴力によるにせよ、権利を装うにせよ、隣人のものを、自分のものにしようとする、一切の悪いこと、企てをも、盗みとよばれるものであります。なお、これに、すべての貪欲、自分に与えられたものの、不必要な浪費をも加えるべきであります」と記されています。第八戒で戒められている「盗み」とは、ただ単に人のものを盗るといったことに限られないことがわかります。

ところで、新約聖書のエフェソの信徒への手紙と呼ばれる書の中に、「盗みを働いていた者」に対して戒めている以下のような言葉があります。

 「盗みを働いていた者は、今からは盗んではいけません。むしろ、労苦して自分の手で正当な収入を得、困っている人々に分け与えるようにしなさい。」(428

「新しい生き方」という小見出しの付いた部分の中にある言葉です。ここでその者に対して、今後は盗んではいかんぞ!で終わっていないことに注意です。また、労苦して自分の手で得た正当の収入で生活を賄え、とも言っていません。「困っている人々に分け与えるようにしなさい」と教えられています。即ち、盗まないで生きるということは、ただ自分のためだけに使うのではなく、他者と分ち合って生きることだと言われているのです。