今週のメッセージ 2015.1.18

四つの福音書

 

新約聖書の最初に、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネという四人が著者として用いられた福音書が四つ置かれています。

最初の三つは、主としてイエス・キリストが語られた教え、また、行われた御業が記されています。この三つは共通点が多いので共観福音書と呼ばれたりします。それに対して四番目の『ヨハネによる福音者』はイエス・キリストとはどういうお方か、また、わたしたちとどのような関わりのあるお方か、が記されています。先の共観福音書と区別して四番目は第四福音書と呼ばれることがあります。

個人的な話しになりますが、わたくしは神学生時代に、四つの福音書の記事を、基本的に時間的順序に並び替えて主イエスの全体像を把握しようと試みたことがありました。大学ノートを横にして、各ページを真ん中に横線を引いて二つに区切り、すると見開きで四段できます。そして上から福音書が書かれた順に、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネと記して、小型版の新約聖書をまとまった記事ごとに鋏で切り、それをノートに貼ったのです。

もう40数年も前に行った作業ですが、その作業を通して、各福音書が時間的順序では記されてはおらず、順序が逆になっていたり、省かれていたりといろいろであることがわかりました。そして、作業を終えたそのノートを見ても、イエス・キリストの全体像把握のねらいは達成できたとはいいかねるというのが結論でした。それぞれの著者は、独自の意図・目的のもとに記事を取捨選択し、配列してイエス・キリストを証ししているのです。主イエスはいわれます、「聖書はわたしについて証しをするものだ」(ヨハネ5:39b)。