今週のメッセージ201/07/19)

迫害者が伝道者に

 

「すると、主は言われた。『行け。あの者は、異邦人や王たち、またイスラエルの子らに

 

わたしの名を伝えるために、わたしが選んだ器である。』」(新約聖書・使徒言行録9:

 

15)

 

  これは主が、ダマスコにいたアナニアという人物に、幻の中で語りかけられた言葉です。

 

 「あの者」とは、今や、キリスト教に対する激しい迫害者が、キリスト教の伝道者へと大

 

変身を遂げることになる青年サウロ、後の使徒パウロです。

 

 先々週記しましたように、エルサレム教会に対する迫害が、却ってユダヤ人から蔑まれて

 

いたサマリア人への福音伝達の道を開いたように、さらに神は、迫害者サウロを用いて異

 

 

 邦人への福音伝道の道を開こうとしておられるのです。アナニアは、余りにも真逆で唐突

 

の故に、当初は尻込みしましたが、これ以上適した器は他になかったと言わざるを得ませ

 

ん。以下にその理由を記して見ましょう。

 

  一つ目は、キリキヤ州のタルソ生まれのヘレニストだったことです。つまり当時の世界の

 

共通語ギリシャ語を話すことが出来、またローマの市民権も持っていました。これは異邦人

 

に福音を語るのに非常に役立ちました。

 

   二つ目は、キリキヤのタルソは、当時、アテネ、アレキサンドリアと並ぶ三大学問都市で

 

した。そこで生まれ育ったサウロは、当時のヘレニズム文化の中で最高の学問を身に着ける

 

ことができたのです。

 

   三つ目は、それでいながらサウロは、著名な律法の教師であるガマリエルの優秀な門下生

 

としてユダヤ人としての最高の律法の素養も身につけていたのです。

 

つまり異邦人への伝道者として最高の素養を持った器だったのです。