今週のメッセージ201/08/09)

「使徒言行録」における聖霊の働き


 「使徒言行録」とは、新約聖書において最初の四つの福音書に続いて第五番目に置かれている書です。口語訳聖書ではこの書は「使徒行伝」となっている。そこでこの書は別名「聖霊行伝」とも言われる。これは当を得た書名と言えるでしょう。何故なら、まさにこの書は聖霊の働きを記しているからです。

 この書の中心聖句をひとつ挙げるとするならば、1章8節でしょう。それは、「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる」、というものです。

 この聖句通り、28章から成るこの書において、昇天されたキリストに代わって聖霊はエルサレムに降臨され、そこからユダヤ地域へ拡がり、さらにユダヤ人と異邦人の混血であるサマリア人の地域へ、そしてさらに当時の世界の中心ローマへと伝えられていきます。使徒言行録はひとまずそこで終わっていますが、キリストの福音を「地の果て」に向って伝えていく証人の働きは21世紀の今日においても続けられ、ほとんど世界中に伝えられ、キリストの教会が存在しています。そしてこれらはすべて聖霊の働きに拠っているのです。

 使徒言行録中においては、聖霊がまずエルサレムに降臨され、続いて厚い壁を破ってサマリアへ、さらに壁を破ってカイサリアにいた異邦人へ、そしてさらにユダヤを離れて外国のエフェソへとその働きを進めていく中で、それが確かに聖霊に拠ることの「しるし」として、「ほかの国々の言葉で話しだした」(2:4)、「異言」をはなした(10:46、19:6)等の記述があるのです。