今週のメッセージ201/08/30)

キリストの福音がヨーロッパに


 前回、28章から成る使徒言行録において、第15章は内容的に全体の分岐点になると記し、その15章の中から御言葉をご紹介しました。

 使徒パウロは、三回にわたって宣教旅行を敢行しましたが、第一回は分岐点の15章の前の14章で終わり、第二回は分岐点第15章の後、厳密にいうと1536から始まっています。そしてキリストの福音がアジアを出てヨーロッパに伝えられることとなったのは、パウロのこの第2回目の宣教旅行においてでした。それは神の不思議なお計らいによるものでした。

 以前にご紹介した使徒言行録の中心聖句――「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」(18――に従ってパウロは第2回目の宣教旅行を展開していました。シリアのアンティオキアの教会を拠点に、宣教の舞台はアジアでした。いささか細かくなりますが、デルベ、リストラ、イコニオンと宣教旅程を進め、さらに同じアジアにおいて宣教を進めようとしたところ、「アジア州で御言葉を語ることを聖霊から禁じられ」(6節)、それならばとビティニア州に入ろうとしたところ、「イエスの霊がそれを許さなかった」(7節)というのです。そこでミシア州を通ってトロアスに下ったのです。するとその夜パウロは、一人のマケドニア人が、「マケドニア州に渡って来て、わたしたちを助けて下さい」(9節)と訴える幻を見たのです。それが、パウロの一行がマケドニア、即ち、アジアを出てヨーロッパに福音を伝えることとなったのです。

 神の禁止は、当座は非常に戸惑いを禁じえません。しかしそこに、人間の理解を超えた神のご計画と御旨が潜んでいることがあるのです。