今週のメッセージ201/10/30)

これこそ、人間のすべて

 

 「すべてに耳を傾けて得た結論。『神を畏れ、その戒めを守れ。』これこそ、人間のすべて。」(旧約聖書・コヘレトの言葉1213、新共同訳)

  「事の帰する所は、すべて言われた。すなわち、神を恐れ、その命令を守れ。これはすべての人の本分である。」(同・伝道の書1213、口語訳)

 前回も『伝道の書』の中からの聖句を冒頭に掲げた。その折は12章の1節を記したが、今回は同書の結論と言える13節を掲げた。また今回は当教会の公用聖書、新共同訳も併記した。

 新共同訳の書名『コヘレトの言葉』の『コヘレト』とは、“集会を召集する者”“説教者”“伝道者”を意味するとのことである。

 それにしても、「神を畏れ、その戒め(命令)を守る」ことこそ、「人間のすべて」、また、「すべての人の本分」と言い切れるのは驚きである。それは著者が、紛れもなく神からの啓示と確信すればこその断言なのだ。

 この書の始め(12)においては、「コヘレトは言う。なんという空しさ/なんという空しさ、すべては空しい」(コヘレト)。他方、口語訳では、「伝道者は言う、空の空、空の空、いっさいは空である」。これは、著者が、「太陽の下に起こることをすべて見極めた」(コヘレト114)、即ち、「日の下で人が行うすべてのわざを見た」(同、口語訳)結論が初めに記されているのだ。

 しかし、聖書は人生の現実から目を逸らさない。それを直視した上で、冒頭に掲げた言葉を更なる結論として語るのである。その根底には、「主を信じる者は、だれも失望することがない」(新約聖書・ローマ1011、新共同訳)の信仰の確信があるからなのだ。この信仰に立つときのみ、「これこそ、人間のすべて」と言い切れる結論に到達出来るのだ!