今週のメッセージ201/11/06)

キリストの福音が世界中に広がるために

 歴史的にイエス・キリストの十字架、復活、昇天の出来事が起こったのはA.D.30年頃といわれている。主イエスは昇天に先立ち、弟子たちに、「あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」(マタイ2819a)と言い置かれた。しかし、本格的な世界宣教が始まったのは、バルナバとパウロによるもので、A.D.46年頃ことであった。従って、主イエスのご命令から、実際に世界宣教が開始されるまでには約16年位の歳月が流れている。しかし、そこに漕ぎ着けるまでには解決しなければならない課題があったのである。使徒言行録によりその課題を考えてみよう。

 その第1は、伝えるためにはイエスをキリスト(救い主)と信じる者たちが生まれなければならなかったことである。なぜなら、あの12弟子たちですら、最初は正しくキリストを信じることは出来ていなかったのである。(cf.使徒16

 第2は、伝道対象の問題である。なぜなら、当初、ユダヤ人たちはユダヤ人以外にはキリストの救いの福音を語っていなかったのである。(cf.1119b)しかし、神は、先ずユダヤ人と、ユダヤ人と異邦人との混血であるサマリア人との間の垣根を取り除かれた。(cf.817)次いで、ユダヤ人と純粋の異邦人との間の垣根も取り除かれたのである。(1045

 第3はそのための働きの担い手の問題である。なんと神は驚くべきことに、激しい迫害者を悔い改めへと導き、宣教者に変身させたのである。その人物はパウロと呼ばれる人で、当時、広く使われていたギリシャ語に堪能で、かつ当時の世界の最高の学問を身に着け、それでいながらユダヤ人のヘブル語と律法にも通じていたのである。故に、ユダヤ生まれのユダヤ人より、広い視野と豊かな素養を身に着けていた、まさに世界宣教のために打って付けの人物だったのである。