今週のメッセージ201/02/26)

12歳の少年イエス

 

「さて、両親は過越祭には毎年エルサレムへ旅をした。イエスが十二歳になったときも、両親は祭りの慣習に従って都に上った。」

(新約聖書・ルカによる福音書2:41,42)

主イエス・キリストが、人としてこの地上におられたのは紀元1世紀初期の頃でした。新約聖書の最初に置かれている四つの福音書がその頃のイエスを伝えています。もう少し厳密に言うと、福音書が伝えるイエスは、主に誕生の頃と、およそ30歳になられて救い主としての公的な働きを担われた約3年6ヵ月の間のイエスです。その他の頃については殆ど伝えられていません。そんな中で唯一の記事は、『ルカによる福音書』が記している12歳の時の少年イエスです。同書2章41〜52節に出ています。紙面の関係で詳しく記す余裕はありませんが、冒頭の聖句が伝えるように12歳の時、過越祭を祝うために両親とエルサレム神殿に上ったのです。

そこに記されている主イエスは二点において注目すべきものがあります。一つは、神殿境内で学者たちとの遣り取りを聞いていた人たちは、「イエスの賢い受け答えに驚いていた」(47節)というその知恵深さ、もう一つは、「わたしが自分の父の家にいるのは当たり前」(49節)という言葉に示されている“神の御子としての自己認識”です。

イエスは、神であられ、同時に人であられました。これは人間の理解を超えています。しかし、誕生時の赤子のイエスを理解することは難しいことではないでしょう。およそ30歳になられ、救い主として公的に活動されたイエスはそれなりに理解できます。そんな中で、12歳の頃のイエスは非常に興味深いものがあります。その頃、すでに知恵において周りの学者たちを驚嘆させ、またご自身が神として自己認識されていたのです。