今週のメッセージ201/03/12)

イエスの系図

 

新約聖書の初めに置かれた四つの福音書の中にイエスの系図が二つ収められています。一つは最初のマタイ福音書の最初の置かれたもの。もう一つは三番目のルカ福音書3章の終わりに納められたもの。聖書を読み始めた当初は、一つでいいではないか、二つは余分、と思ったものです。しかし、読み重ねて行くにつれ、二つの系図にはそれぞれ意味があることがわかってきました。

先ずマタイ福音書の系図(1116)です。冒頭に、「アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図」(11というタイトルが付いています。このタイトルが系図の持つ意図を端的に示しています。即ち、旧約聖書の最初の書、創世記の2218に、「地上の諸国民はすべて、あなたの子孫によって祝福を得る」とありますが、これは神がアブラハムに向かって語られているものです。つまり、系図冒頭の「アブラハムの子」とは、かつて神がアブラハムに向かって語られた約束が、イエス・キリストにおいて実現したことを伝えているわけです。次の「ダビデの子」も同様です。紙面の都合上、聖句の個所しか示せませんが、かつて神がナタンという預言者を通じてダビデに語られた約束(Uサムエル71216)がイエス・キリストにおいて成就したことを表しているわけです。

他方、ルカ福音書に出て来る系図(32338)は、マタイとは逆にイエスから遡ります。それは最初の人アダム(創世記27)までです。このことはイエス・キリストという存在が、イスラエルという民族内に留まらず、全人類に関わるお方であることを示しているのです。

このように二つの系図はそれぞれ使命を持って異なったメッセージを伝えているのです。