今週のメッセージ201/03/19)

「春分の日」に因んで

 

本年は明日20日が「春分の日」。この日は秋の「秋分の日」と共に、太陽が真東から上って真西に沈む日。この西という方角は、仏教では極楽浄土は西の彼方にあると考えられており、このことから、あの世(彼岸)とこの世(此岸)の距離が最も近づく日と考えられ、従って亡くなった先祖との距離が最も近づくという考えとつながり、墓参りの風習も生まれてきたようです。俗に“お彼岸”と呼ばれるのもその辺からのようです。

ところで、聖書の中に、主イエス・キリストがこの世(此岸)とあの世(彼岸)について語っておられる個所があります。それは新約聖書の『ルカによる福音書』(161931)にあるもので『金持ちとラザロ』の話です。毎日贅沢三昧の生活の金持ちに対し、ラザロはその金持ちの門前で物乞いをしながら日々を過ごしていました。しかし、死を挟んで両者の境遇が逆転し、ラザロは天国へ、金持ちは地獄へ、となります。地獄の火炎の中で苦しむ金持ちがふと上を見上げると、天国で安らいでいるラザロが見えます。そこで金持ちは、天に向かって乞うのです。ラザロを遣わして、炎の中で苦しむ自分の舌を冷やして欲しい、と。すると天から、双方の間には深い淵があって行き来は不可能との返答。すると金持ちは、ラザロを地上に遣わしてまだ地上にいる兄弟たちに、自分と同じ轍を踏まぬよう警告して欲しい、と。すると再び天から返答があり、彼らに聖書がある、それに聞くが良い、と。しかし金持ちはさらに食い下がります。死人の中から甦った者が語るのが最も説得力がある、と。しかし天からの返答は、聖書を信じなかったら、たとえ甦った者が語っても聞き入れはしない、と。

「実に、信仰は聞くことにより、しかも、キリストの言葉を聞くことによって始まるのです。」(新約聖書・ローマ10:17)