今週のメッセージ201/05/07)

『ヨハネ福音書』21章について

 

「このほかにも、イエスは弟子たちの前で、多くのしるしをなさったが、それはこの書物に書かれていない。これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。」(ヨハネ20:30,31)

今回のタイトルは一般の方々向きでないものになっていますので、最初に少し釈明をいたします。

タイトルの下に記したことばは、『ヨハネ福音書』20章の最後のことばです。内容的にこの福音書の締めのことばに見えます。実際、新共同訳という訳の聖書には、“本書の目的”という小見出しが付いています。これは聖書本文にはない、理解の助けのために人間が付加したものです。すると、尚一層締め括りの位置づけを占めたことばのように聞こえます。その後に21章が来るわけですから、どうしても一旦締められた後に付け加えられた感じが否めません。そして専門家達も21章は後から付加されたものであることを認めています。

すると、どういう意図があって付加されたのだろうと言うことになります。専門家の見解はいろいろありますが、読者として素直に読む時、少なくとも二つのことが考えられると思います。

ひとつは、主イエスの十字架の時、自己保身のために三回にわたり、主イエスとの関係を否定する過ちを犯したペトロという弟子の回復です。

もう一つは、ヨハネという弟子に関して“死なない”という、ある意味で神格化された誤った噂の否定です。

21章がそれを実現したといえます。