今週のメッセージ201/07/16)

『ヨブ記』の中心テーマ

 

「主はサタンに言われた。『お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。』サタンは答えた。『ヨブが、利益もないのに神を敬うでしょうか。』」

(ヨブ記1:8,9)

本日の礼拝テキストは旧約聖書中の『ヨブ記』から採られています。聖書全巻は66の書から成っていますが、『ヨブ記』は章数が42ですからボリューム的に比較的大きな書です。

最初の12章はいわば『ヨブ記』のプロローグです。冒頭の聖句(1:8,9)は、これからヨブが遭遇することになる悲惨に先立っての舞台裏における主()とサタンの遣り取りの言葉です。

()はサタンに対してヨブを誇っています。――『お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている』。

するとサタンは即座に反論します。――『ヨブが、利益もないのに神を敬うでしょうか。』

このサタンの反論は、所詮、宗教や信仰は、人間が神から御利益(ごりやく)を得るための手段に過ぎないという主張です。

他方、『コヘレトの言葉』(12:13b)には、「『神を畏れ、その戒めを守れ。』これこそ、人間のすべて」とあります。そして、「これこそ、人間のすべて」の部分は、協会訳では、「これはすべての人の本分である」となっています。

つまり、宗教・信仰は、神から御利益を得るための手段か、それとも「すべての人の本分か、が『ヨブ記』では問われているのです。