今週のメッセージ201/0/09)

あなたの父母を敬え

 

冒頭のタイトルは、旧約聖書に出て来る『十戒』と呼ばれる戒めの中のひとつです。『十戒』は神のすべての戒めの土台です。ここでは十の戒めの全部をご紹介するのは控えますが、冒頭のものは『十戒』の第5番目のものです。これを挟んでその前に置かれている第1から4までは神との関わりについての戒め。それに対して第6から10までは人との関わりのあり方の基本を教えているものです。(関心のある方は、旧約聖書の2番目の書、『出エジプト記』の第20章をごらんになるとそこに出ています。)

少々前置きが長くなりましたが、冒頭に挙げた第5番目の戒め――あなたの父母を敬え――は、一見、親孝行の教えのように見えます。もちろん、その要素も含まれていますが、それ以上の意味が込められています。それは、その前に置かれている四つの神との関わりについての戒めが大きく関係しています。

重要なのは、何故に敬えといわれているか、その理由です。親孝行の教えと捉えるだけならば、自分を産んで育ててくれた存在だからということになりますが、敬う理由にはそれ以上のものがあるのです。それは、前述のようにその前の神との関わりについての戒めが深く関連しています。つまり、親は子どもに対して天地万物の造り主で、かつわたしたちの命の源であり、救い主である神を畏れ敬うことを教えつつ育てるのです。子は、その故に「あなたの父母を敬え」と教えられて育つのです。単に産んで育ててくれたからではないのです。自分がまだ幼くて主体的に神のことばを学ぶことが出来ない、そういう自分に対して、父母は人間にとって最も大切な神を畏れ、そのことばに聞き従って生きることを教えつつ育ててくれる存在なのです。その故に神は、「敬え」といわれているわけです。