今週のメセージ(2019/05/26)

夏目漱石の“則天去私”

 

先週は、芥川龍之介の作品『じゆりあの吉助』を取り上げて記しました。その折、芥川の(キリスト教)信仰に関する考え方は、“所詮、信仰は思い込みに過ぎない”ということだということでした。

前回も記しましたが、芥川龍之介、太宰治、有島武郎の三者は、キリスト教(聖書)に触れたことがあり、また三者とも自殺で人生を終えた共通点を持っています。そんなことから若かりし頃、この三者に関心を持って読んだ時期がありました。また、この三者とは別に夏目漱石もかなり読んだ作家でした。

漱石と言えば、“則天去私”ということばが知られています。“天に則って私心を捨てる”といった意味ですが、漱石自身の造語だといわれます。後に筆者がクリスチャンになった時、主イエスがいわれた“最も重要な掟”(マタイ223440他)を連想したりしました。が、漱石自身はこの言葉に関して格別な説明はなく、また聖書との関連もないようなので、ちょっとがっかりしたことを覚えています。主イエスがいわれた、その“最も重要な掟”とは以下のようなものです。

 「ファリサイ派の人々は、イエスがサドカイ派の人々を言い込められたと聞いて、一緒に集まった。そのうちの一人、律法の専門家が、イエスを試そうとして尋ねた。『先生、律法の中で、どの掟が最も重要でしょうか。』イエスは言われた。『「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。」これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。「隣人を自分のように愛しなさい。」 律法全体と預言者は、この二つの掟に基づいている。』」(マタイ22:34〜40)

主イエスは、神を愛することと、隣人を愛することの二つが、最も重要な掟だといわれていることは、わたしたちの心にも刻むべきことです!