今週のメッセージ201/12/22)

聖書が伝えるキリスト降誕

「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。」(新約聖書・ルカによる福音書2:11)

 

新約聖書の最初に置かれた四つの福音書は、基本的には救い主イエス・キリストの誕生から十字架の贖罪死そして三日目の復活・昇天までを記しています。

しかし、2番目の『マルコ福音書』は、キリストより6ヶ月先立って生まれ、後から来られたイエス・キリスト紹介することを専らの使命として担った洗礼者ヨハネの働きの記述から始まっています。従ってキリストの降誕記事はありません。しかしそれは、冒頭のキリストの筆頭弟子ペトロの言葉が示しているように、キリストの地上における働きを描くとき、キリストの先駆者として活動した洗礼者ヨハネとそのヨハネによる主イエスの受洗から始まるのが定番だからです。決してキリストを軽んじたわけではありません。

最初に置かれている『マタイ福音書』は、「アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図」(11)の書き出しで始まり、旧約のアブラハム契約またダビデ契約の成就としてのキリストの降誕を語ります。

3番目の『ルカ福音書』は、四福音書に続いておかれている『使徒言行録』のまえがきにあるように、それに先立つ位置を占めています。

最後の『ヨハネ福音書』は、先の三つの福音書が、人としてのイエス・キリストを描くのに対し、人となられる以前の、永遠のはじめから存在されていたキリストを描いています。そして、これら四福音書が総合により、神の御子、救い主なるイエス・キリストの全体像が示されているのです。