今週のメッセージ2020/02/02)

わたしたちの戦い

 

小生が敬愛する信仰の先輩に辻宣道師がおられた。ご尊父は辻啓蔵師で、戦時中の宗教弾圧で検挙され、青森刑務所で獄死されたという。

小生は、1978年から1992年までの14年間、静岡市で伝道牧会のご奉仕を担わせていただいと折、宣道師とお交わりの恵みに与ったのだが、獄死されたご尊父のご遺骨を引き取って帰られた時、その音を聞きながら・・・というお話しを伺った思い出がある。

現代の日本にあっては、かつてのそのような弾圧や迫害はないのだが、かつて東京大学の総長を務めたことのある矢内原忠雄(1893〜1961)が、聖書の最後に置かれている『ヨハネの黙示録』という書について、「象徴を以て託すにあらざれば、信仰を発表することができなかったほどの迫害時代にありて、信仰の戦士を励ます為に送られた血戦の書である。従って自ら信仰の戦を戦う者でなければ、この書の真の意味を解することを得ないのである」と述べている。というのは、『ヨハネの黙示録』には多くの表象的表現が用いられているからである。先の第二次世界大戦中、ヒットラーに抵抗して戦ったドイツの教会で、この書は新しく読まれ、教会の信仰とその戦いを支える力となったといわれている。

今の日本には上述したような状況はない。それは幸いなことであるが、その半面、信仰が緩んでしまう危険も覚えなければならないだろう。悪の霊は、そのような中に実に狡猾に働いていることも覚えなければならない。

「わたしたちの戦いは、血肉を相手にするものではなく、支配と権威、暗闇の世界の支配者、天にいる悪の諸霊を相手にするものなのです。だから、邪悪な日によく抵抗し、すべてを成し遂げて、しっかりと立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。」(エフェソ6:12、13)