今週のメッセージ(2021/6/6)

「惜しみない愛と惜しむ心」 ヨハネ12:1−12

 

  ヨハネによる福音書の10章から12章までの時系列をおおまかにたどると、神殿奉献記念祭が冬(12月)に行われ、12章には春に行われる過越祭が目前に迫っている中での出来事が記されています。このように見て行きますと、11章にあるラザロが生き返るという奇跡は、冬が終わり、春が近づく頃に行われたものであることが分かります。

 その頃の主イエスは都を離れ、エルサレムとサマリアの間にあるエフライムに滞在されました。ユダヤ議会の決定により、見つかれば逮捕されかねない状況にあったからです。過越祭が近づくと人々はイエスの話題で持ちきりになっていました。けれども主は、祭の六日前にベタニアへ行かれたのです。そこは都エルサレムのすぐ近くにある村ですから、イエスが村に来た噂はまたたく間に広がって、多くの群衆がイエスとラザロを見ようと集まってきました。

 福音書はイエスを中心に集まった人々の食卓の情景を描き、ユダの発言とそれに対する主イエスの応答を伝えています。香油を主の足に塗るマリアとその行動を諫めるユダの心には、非常に大きな乖離があります。 十字架が間近に迫っていることをご存知であった主は、マリアが携えて来た香油をご自身の葬りのために用いるようにと促されたのでした。