今週のメッセージ(2021/10/17)

ピラトからの尋問が始まる」ヨハネ18:28-38a

 

 ユダの裏切りにより捕えられた主イエスは、真夜中でありながら即座に行われた大祭司による尋問を経て、いよいよポンティオ・ピラトによる尋問を受けることになりました。ピラトは官邸の中にいるイエスと、外で待っているユダヤ人たちとの間を何度も行き来しながら尋問を続けることになります。 このピラトはローマの皇帝ティベリウスの任命により、西暦26年から36年に渡り総督としてユダヤを治めた人物です。

 総督は皇帝の代理ですから、属州であるユダヤを全面的に支配するのが彼の仕事でした。福音書に記されている彼の言動を読むと、ピラトはイエスの裁判を司ることを嫌がっているように見えます。主イエスへの尋問に際しても「何をしたのか」と問いながらも、その詳細を取り調べるようなそぶりはありません。けれどもピラトがこだわったのは、イエスがユダヤ人の王であるかどうか、という問題でした。

 ヨハネによる福音書だけでなく、聖書の全体から照らし合わせて考えてみると、主イエスが王であることの意味はピラトの想定をはるかに超えた大きなものであることが分かります。ピラトだけでなく、すべてのユダヤ人にとって、また全世界のすべての人にとっても、それは極めて大きく、大切な問題なのです。