今週のメッセージ(2022/5/1)

「魔術師シモンと使徒ペトロ」使徒8:9-25

 

 迫害のために散らされたクリスチャンたちによる伝道は、各地へと広がって行きました。その第一歩とも言うべきサマリアでの伝道のために、神はフィリポを大いに用いられました。長年に渡って人々を魔術の虜にしていたシモンまでもがフィリポに従うようになったのです。そもそもユダヤ人とサマリア人の間には古くからの確執があり、交際がありませんでした。ところが、フィリポたちが福音を語り、しるしや奇跡が起こると大勢の人々が主イエスを信じ、洗礼を受けたのです。その知らせを聞いたエルサレムに留まっていた使徒団はペトロとヨハネをサマリアへ派遣します。

 なぜ使徒たちは積極的にサマリアへの伝道に取り組むことなく、言わば後手に回ったのでしょうか。確かな理由は分かりませんが、かつて主イエスは弟子たちに「サマリア人の町に入ってはならない」(マタイ 10:5)と言われたことがありましたし、ルカ 9:51-56 ではサマリア人たちが主イエスを歓迎しなかったことで使徒たちが激しく怒った姿が描かれています。そうした経緯が影響したのかもしれません。

 けれども、サマリア人たちが「神の言葉を受け入れた」と聞いたことで(8:14)、ペトロとヨハネはサマリへ行き、洗礼を受けた人々がさらに聖霊に満たされるために祈りました。そしてサマリアの多くの村を巡回して福音を宣べ伝えてからエルサレムへと帰ったのです。

 ここから読み取れることは、主イエスの福音と魔術は決して相容れるものではなく、聖霊の恵みを金銭で得ることができるようなものでは決してないということです。