今週のメッセージ(2022/5/8)

「聖霊に従うフィリポ」使徒8:26-40

 

  エルサレムから北にあるサマリアで伝道していたフィリポは聖霊の導きに従い、今度はエルサレムから南西へと下って行きました。それは地中海沿岸へと向かう山道であり、人通りの少ない寂しい道でした。その途上で彼はエチオピア【古くから栄えていたアフリカにある国】を治める女王カンダケの財産管理を委ねられていた宦官と出会いました。【カンダケとは女王という意味であり、エジプトの最高権力者がファラオと呼ばれていたように、個人名ではありません。】そんな女王に仕えるエチオピア人の高官が遥か遠くからエルサレムを訪ね、主なる神様に礼拝を奉げて帰る道の途中でフィリポと出会い、イエス・キリストを信じて救われたのです。

 宦官が馬車の中で読んでいたのは旧約聖書のイザヤ書でした。ルカはさらに詳しく、その箇所が53章7−8節の部分であったことを引用によって明らかにしています。宦官はイザヤの巻物を朗読していた時にフィリポから声をかけられ、彼に聖書の解き明かしを求めました。と言うのも、メシアと呼ばれる救い主を待ち望んでいたイスラエルの人々が、メシアをかつてのダビデのような力強い王様のように考えていたからであると思われます。宦官はイザヤ53章に記されている「屠り場に引かれていく羊、黙している小羊、命が地上から取り去られる」人物とダビデのような力強い王のイメージがあまりにもかけ離れていることに考えあぐねていたようです。けれども、御言葉によって魂を養われていた宦官は、すぐさま洗礼を受ける決心を固め、フィリポは彼に洗礼を授けたのでした。主イエスが地の果てまでわたしの証人となると言われた異邦人伝道は 9 章のパウロや 10 章のペトロに先立ち、聖霊がフィリポという信徒の伝道を用いることで、その先鞭がつけられていたのです。