今週のメッセージ(2023/1/15)

 「神の見えざる手」使徒 23:12−35

 

 今年は経済学の父と呼ばれるアダム・スミス生誕 300 年となります。彼は経済の他に倫理や哲学の分野でも著作を残していますが、その著『富国論』の中で「見えざる手」について言及しました。人々が個人的な利益を追求しても、それらは結果的にまるで見えざる手によって導かれているかのように全体としては経済を成長させていると指摘したのです。

 今日の聖書箇所で登場するのはパウロを暗殺しようと企む 40人もの集団、総督や千人隊長、ローマ帝国の軍隊であって、神様や天使たちへの言及はなく、奇跡的な御業などは何も記されていません。描かれているのは、ローマの市民権を持つパウロを保護し、彼に対するユダヤ最高法院の訴えについて総督フェリクスの裁定を仰ぐ判断をした千人隊長の経緯とパウロがカイサリアへ護送された直後までの姿です。けれども、私たちはそこに神様の見えざる御手を見出すことができます。気がつかないほどひっそりと、神の奇跡は静かに、けれども確実に届けられていたのです。