今週のメッセージ(2023/5/14)

 「眠っておられる主」マルコ 4:35-41

 

  かつて司馬遼太郎は江戸時代の廻船商人を題材とした長編小説を書きましたが、その中で船乗りの心得を説いているシーンがあります。乗組員の命と貴重な船荷を共に守るために必要な真の勇敢さとは臆病になることだと言うのです。

 舟上での二度目の説教として多くのたとえを語られた主は、弟子たちに舟を出し、向こう岸へ渡るよう命じられました。複数の舟が共に進みましたが、主は舟尾で横になり、眠っておられたと記されています。

 主イエスに従った弟子たちの中には、ガリラヤ湖で猟師をしていた者たちがいます。彼らは湖に関する十分な知識を持ち、舟の扱いにも熟達していたはずです。けれども激しい突風に見舞われた時、彼らは恐れ惑い、眠っておられた主イエスを起こし「わたしたちが溺れてもかまわないのですか」と問い詰めることしかできませんでした。主に選ばれ召された弟子たちは、こうして思いも寄らないかたちで信仰の訓練を受けることになったのです。