今週のメッセージ(2024/3/3)

「ユダヤ人の王」マルコ 15:1‐15

 

  主イエスはローマ帝国から派遣されていた総督ポンティオ・ピラトによる裁判により死刑判決を受けることになりました。ピラトは公人として最も多く新約聖書に登場する人物です。その名は 55 カ所に記されており、次のヘロデは 43 カ所でした。ピラトの名は使徒信条にも登場し、イエス・キリストは彼のもとで苦しみを十字架につけられました。つまり、主イエスの歴史的実在と十字架の死を公的に証拠づけるものとなっています。

 ピラトの官邸はカイザリアにありましたが、エルサレムにも屋敷があり、双方を行き来しながら領地を管轄していたとされています。過越祭が行われたこの時期、彼がエルサレムで公務に当たっていたことにより、イエス・キリストはローマ帝国の支配のもとで十字架にかけられることになりました。まさにマルコ 10:13-14 でイエスが言われた通りに実現したのです。「今、わたしたちはエルサレムへ上って行く。人の子は祭司長たちや律法学者たちに引き渡される。彼らは死刑を宣告して異邦人に引き渡す。」

 マルコ福音書では、この 15 章の中で 4 回「ユダヤ人の王」という言葉が繰り返されています(2,9,12,18,26)。主イエスに敵対していた祭司長たちにとって、それは許し難い称号であり、ローマ人の総督ピラトにとっては「属国の内部抗争」として穏便に片づけなければならない面倒な問題のキーワードだったのです。