聖書の中の奇蹟          

 

 聖書を読んでいると、いわゆる『奇蹟』と呼ばれる出来事を記した記事が出てきます。イエス・キリストが病人を癒したり、死人を甦らせたり、また、嵐を鎮めたり、悪霊を追い出したり、かと思うと、水をぶどう酒に変えたり、5つのパンと2匹の魚で大群衆の飢えを満たしたり、等々。

 すると多くの方々は、どうも聖書にはこうした非科学的なことが書かれてあるのでなじめない、といわれます。またクリスチャンの中でも、こうした奇蹟がその通り起こったと信じる人もいれば、否、ビデオカメラで撮ればその通り写るような性質の出来事ではない、と考えている人たちもいます。

 聖書の奇蹟を考える場合、心に留めておくことが一つあります。それは次のことです。

 聖書(新約聖書)で「奇蹟」と訳されている原語(ギリシャ語)は、主として、デュナミス(力)、テラス(不思議)、セーメイオン(しるし)の三つです。それらは「奇蹟」の他に( )の中の語のように訳されている個所もあります。それらの括弧内の訳語が奇蹟というものを理解する上で光を与えてくれます。即ち、それぞれ「奇蹟」をその源泉(神の力)、性質(不思議な出来事)、意味(ある事を指し示しているしるし)の視点で捉えているわけです。従って、「奇蹟」を考える時、それが本当にあったことか否かもさることながら、それが何を伝えようとしているかに注目することが大事です。特にイエス・キリストがいかなる方かをあかしする意義を持っています。

 あなたも是非一度近くの教会にお出かけになって、聖書の解き明かしをお聞きになられることをお勧めします。