「敬老の日」に因んで

 
 9月15日は「敬老の日」。全国のあちらこちらでそれに因んだ催しが行われます。

 因みに、『敬老の日』が制定されたのは1966年で、「多年にわたり社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」というのがその制定の主旨です。敬老を主旨とする日としては、これ以前にも9月15日が指定されていました。最初に指定されたのは1951年で、この時は「としよりの日」でした。その後1963年に老人福祉法が制定され、「老人の日」と改称されましたが、さらに3年後、現行の「敬老の日」となったというのが今日までの経緯です。

 統計によると、65歳以上の人口が2,049万人で、総人口の16.2%を占めるにいたりました。急速に高齢化社会が到来しつつある中で、「年を重ねる」ということは非常に深刻な問題となってきています。年をとると、社会でも家庭でも中心的な存在ではなくなり、厄介なお荷物的扱いを受けかねないのが現実です。そうした中で、「年を重ねる」ことを、肯定的かつ前向きに受けとめられるようになることは重要課題です。

 カトリックのクリスチャン作家曽野綾子氏は、その著書『戒老録』において、「老年のさまざまな苦しみは、人間の最後の完成のために与えられた贈り物と思うこと。それをみごとにうけとめられるのは老人しかいない」と言っています。

 そこには「老い」や「死」というものを、「亡び」や「終わり」ではなく「完成」という範疇でとらえる信仰が働いています。それは、キリストによる救いを下地として初めて見えてくるものなのです。