今週のメッセージ(3/7)

 

わたしは良い羊飼い

 

 「わたしはよい羊飼いである。よい羊飼いは羊のために命を捨てる。」

(新約聖書・ヨハネ10:11)

 

 一口に「聖書」といっても実は66巻の書が集まって聖書が形成されています。そして一番最近書かれたものでも紀元1世紀の終わりですから、聖書は言うならば古文書のような性格を持っているわけです。従って、聖書がよくわかるためには、そうした時間的隔たりを初め場所的隔たり等を埋めて橋渡しをしてくれる助けが必要です。

 冒頭の聖句はイエス・キリストのみ言葉ですが、当時のパレスチナにおける羊飼いや羊のことがわかると、その意味がよく理解されます。

 元来、羊や羊飼いはわたしたち日本人にはあまり身近なものではありません。しかし、当時のイスラエルの人たちには実に身近なものでした。

 パレスチナの地は、現在こそ人工的に不便さを克服する工夫が施されていますが、その土地柄はどちらかといえば砂漠に近い、牧草や水に乏しい所でしたから、羊飼いの仕事は苦労の多いものでした。牧草と水を求めて移動し、時には群れを襲う野獣や強盗に対して命懸けで群れを守らなければなりませんでした。

 他方、羊はというと、か弱く、襲ってくる外敵に対して自己防衛力を持たず、加えて地理的弁別力が弱く迷いやすい動物です。従って、羊飼い無くしては夜も日も明けないような存在です。

人間も実は、主なる神無くしては夜も日も明けないような存在なのです。