今週のメッセージ 99.10.17

 

故三浦綾子さんの最後の大切な仕事

 

 クリスチャン作家として知られる三浦綾子さんが、去る12日、静かに主のみもとに召されていかれました。77歳でした。お若かった頃、肺結核や脊椎カリエスを患い、晩年においても直腸ガンやパーキンソン病と闘われたことを思うと、77歳まで生きられたことは驚きです。

 一般紙の報道で、パーキンソン病が悪化、口述筆記の声も出にくくなるほどに衰弱された中、「わたしにはまだ、死ぬという大切な仕事がある」と語られたことが伝えられていました。非常に感銘深くその記事を読み、三浦さんはどんな意味で「死ぬこと」を「大切な仕事」と言われたのだろうかと考えました。

 「死」というものに対して人はさまざまな対し方をします。

 ある人は、どうせ人間は必ず死ななければならないのだ、と諦観(あきらめ)を以ってその時を迎えようとします。

 またある人は、死を恐れ、嫌悪し、出来る限りその時を遅らせようと努めます。

 しかし、非常に積極的に死と取り組む人もいます。墓の準備をし、相続問題等で遺された者たちの間にトラブルが生じないようにと配慮し、果ては葬儀に関しても細部にまで指示を与え、といった具合に。

 しかし、三浦さんの場合はそのいずれでもなかったと思います。

 救い主イエス・キリストを信じて人生を生きられた三浦さんは、まず「死」というものを地上生涯の締め括りの時と考え、良き締め括りが出来るようにと努め、また同時に「死」を天の御国への入り口」と考え、御国の市民としてふさわしく整えられることを志されたのでしょう。その意味で「死ぬこと」を「大切な仕事」として取り組まれたのだと思います。

 

Topへ