シーン1.5 〜ダニー〜
「ダニー、生きてたか?」
「ああ、なんとかな。」
俺とダニーは冗談交じりの挨拶を交わし、10年ぶりの再会を喜んだ。
ダニーはあの頃と全く変わっていない。
相変らずの、人なつっこい笑顔で俺を迎え入れてくれた。
「どうだ、調子は。あいかわらず行き当たりばったりにやってるのか?」
「ははっ、まあな。そっちこそ、ずいぶん立派な屋敷に住んでるじゃないか。」
「ああ。おかげさまでな。どうだ、一杯。」
「・・・せっかくだが・・・」
そう、俺にはやらなくてはいけないことがある。世間話をしている暇はなかった。
「実はダニー、今日来たのは・・・」
「わかってる。KOTのことだろう。」
「やっぱりお前も気づいていたか。例の古文書との関連・・・」
「ああ。ついに奴が動き出したのか・・・」
「頼む、ダニー、力を貸してくれ。お前の力が必要なんだ。」
「言われるまでもないさ。KOTが流行り始めた直後から、既に情報収集を開始している。」
「さすがダニーだ。わざわざ俺が来るまでもなかったか。」
「いや、越前、お前の力も必要だ。」
「どういうことだ?」
「集めた情報は、リムブルク大学に分析を依頼してるんだが・・・。
ここ2、3日、大学との連絡がとれないんだ。」
「リムブルク大学!? ということはグレッグにか。・・・連絡が取れないって、どういうことだ。」
「妨害電波さ。リムブルク大学を中心に、広範囲に電波障害が起こってる。
しかも、例のクリーチャー騒ぎのおかげで、みんなおびえてしまって・・・
直接行って確認しようという奴も誰もいない。
今、リムブルクがどういう状態なのか・・・さっぱりわからない。」
「・・・わかった。俺が行って、グレッグを助けてくるぜ。」
「フッ。お前ならそう言うと思ってたよ。うちの自家用ジェットを貸してやる。
これで上空から、直接大学に侵入してくれ。」
「・・・何だと?」
「地上はクリーチャーだらけで、着陸するのは危険なんでね。」
「おいおい・・・パラシュート降下なんて、10年ぶりだぜ。」
「頼む、お前しかいないんだ。越前!」
そう言われては断るわけにもいかない。どちらにしろ、グレッグには会わなくてはならないのだ。
「まったく、人使いの荒いところまで昔のままだぜ。・・・ところで、例の宝石は?」
「それが・・・全く行方が分からない。あれほどの宝石だ。
絶対にどこかから情報が漏れてくるはずなんだが・・・」
「まさか、奴の手にわたったんじゃ・・・」
「うむ、オレもそれを考えていた。くそっ、こんなことなら10年前、宝石を売るんじゃなかった。」
「落ち着けよダニー。あの時は金もなかったし、ああするより他になかっただろ。
過ぎたことを悔やむより、これからのことを考えようぜ。」
「ああ・・・そうだな。だが、あれが奴の手に渡ったとなると、厄介だぞ。気を付けろよ。」
「大丈夫だ。俺には、このクリムゾンもあるしな。」
「・・・越前・・・」
「何だ?」
「いや・・・何でもない。とにかく、グレッグに会うんだ、越前。
あいつならきっと、力になってくれるはずだ。」
「ああ、まかせとけ。」
1時間後、ダニーの手配したジェットが到着した。
「じゃあ、気をつけてな。死ぬんじゃないぞ。」
「ああ、ダニーも元気でな。」
俺はジェットに乗り込み、リムブルクへ向かった。
「グレッグ・・・待ってろよ!」
続く
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